2010 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界圧推進剤の混合過程の解明及び噴射器形状による混合促進効果に関する研究
Project/Area Number |
09J09534
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷 洋海 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超臨界圧 / 極低温推進剤 / 同軸噴流 / 乱流混合 / 混合促進 / 液体ロケットエンジン / 同軸型噴射器 / Direct numerical simulation |
Research Abstract |
高推力液体ロケットエンジンの燃焼室は推進剤の熱力学的臨界圧を超えて作動することが多い。本研究の目的は、そのような超臨界圧雰囲気中へ噴射される推進剤噴流の混合過程と、混合過程に対して噴射器出口形状が及ぼす影響を解明することである。これらの目的のため数値解析と超臨界圧噴射実験を実施した。 数値解析では、超臨界圧下の乱流混合層のDNS(Direct numerical simulation)解析を行い、推進剤混合の基礎をなす乱流混合現象の特徴を調査した。その結果、超臨界圧下の乱流混合メカニズムは単相流に近いことがわかった。次に、DNS解析結果を基に、超臨界圧下の乱流混合層に適用可能な乱流モデルを提案した。続いて、この乱流モデルを用い、超臨界圧下の噴流をRANS(Reynolds-averaged Navier-Stokes)解析で調査した。その結果、超臨界圧下の噴流の温度分布に、特有な熱力学的物性の影響が現れ、単相流の非等温噴流とは異なることがわかった。 次に噴射器出口形状の影響を調査するために、亜臨界圧下で混合促進効果があるリセスの影響をRANS解析により調査した。その結果、超臨界圧下ではリセスによる混合促進効果は必ずしも期待できないことがわかった。 噴射実験は数値解析結果の検証を目的に行った。超臨界圧下の噴流の特有な温度分布を確認するために、熱電対を用いて噴流の温度分布を測定した。その結果、数値解析と同様の温度分布の特徴を確認した。次にリセスの効果を調べるために、高速度カメラを用いて可視化を行った。その結果、水を用いた亜臨界圧下の試験では混合促進効果が認められたが、超臨界圧下では促進効果は観察されなかった。以上より、超臨界圧下の推進剤噴射を考える場合には、単純に亜臨界圧下の知見を利用するのでなく、超臨界圧下独自の噴射試験や数値解析による確認が必要であることがわかった。
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Research Products
(4 results)