2010 Fiscal Year Annual Research Report
不動点への高速な単調近似を実現する写像の新構成法と信号処理工学への応用
Project/Area Number |
09J09539
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山岸 昌夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 信号処理 / 適応システム同定問題 / 単調近似写像 / 劣勾配射影 / 近接点写像 |
Research Abstract |
信号処理は,オンライン機械学習問題や適応フィルタリング問題など,幅広い分野に応用されており,誤差に頑健で低い計算量を有し,安定かつ高速な収束性能をもつアルゴリズムが望まれている。頑健生には「非可微分凸関数や指数型凸関数の値を十分小さくする点を見つける問題」に定式化が有効であり,低計算量で安定した収束の実現には「単調近似写像(解集合の点を不動点とし,それ以外の点は必ず解集合へ近づける写像)」の一つである劣勾配射影が有効である.しかし,劣勾配射影の収束は十分高速ではない. そこで,本研究は劣勾配射影と同程度の計算量で高速な収束を実現する単調近似写像を用いた高性能な信号処理アルゴリズムの構成を目的としている.今年度は,「可微分凸関数と非可微分凸関数の和の最小化問題」の単調近似写像である前方後方分離型近接点写像を用いたアルゴリズムを提案している.これは,画像のぼけ除去などで効果的であると考えられているiterative shrinkage/thresholding(IST)法の考え方を適応フィルタリング問題に拡張した初めてのアルゴリズムであり,低計算量で安定かつ高速な収束性能とともに高い推定精度を実現することを確認している。さらに,IST法の著しい高速化を実現するFast IST法の考え方も適応フィルタリング問題に拡張し,その有効性を数値的に確認している. また,Fast IST法のさらなる高速化を提案している.Fast IST法とIST法の収束速度はステップサイズに依存しており,Fast IST法のステップサイズの自由度はIST法に比べ小さい.そこで,IST法と同じステップサイズを用いることができるFast IST法の拡張を提案し,それが高速化を実現する事を数値的に確認している. 以上の提案法の理論的評価のため,推定精度の評価基準の一つであるStein's unbiased risk estimator(SURE)の研究も行った.本年度は,SUREが悪条件な問題では評価基準として不十分である事を理論的に明らかにし,悪条件下でも有効な評価基準を提案した.また,その有効性は数値例への応用によっても確認している.
|
Research Products
(7 results)