2010 Fiscal Year Annual Research Report
「Middle Class」のイメージと現実-日中の事例を通してみた政治・文化
Project/Area Number |
09J09573
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
周 倩 東京大学, 大学院・学際情報学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミドルクラス / メディア / イメージ / イデオロギー / 政治性 / 間テクスト性 / アメリカ / 意識 |
Research Abstract |
本研究は「中流」の形成期と言える1955年から1973年までの時期に遡り、メディア学的な視点から日本における「中流」の形成とその意味合いを掘り起こした。具体的には、本研究はメディアの保存性を考え、性格が異なると言われる日本の両大新聞『読売』と『朝日』を分析資料として扱った。両新聞がいかなる状況の下で、「中流」をいかに描き出しているかを、あらかじめ定められた手順によって得られた数量的データに基づきながら、質的調査を通じて論じてきた。 その結果、(1)日本の「中流」はそもそも、「経済成長」という言葉とともに登場したものである。(2)政党・知識人・マスメディアなど様々の語り口は特定の時代背景の中で、それぞれの目的に基づき、語られたものである。(3)最初から虚と実が微妙に混在し、政治性と戦略性を帯びている一つの神話やイデオロギーと看做してよい存在である。この三つのことが明らかになった。 一方、本研究は2000年代に入った後の中国の「中産階級」イメージを新聞・雑誌、広告とテレビドラマといったメディアの表象レベルや生産と受容過程から析出した上で、「中産階層」イメージの形成メカニズムを解明した。またメディアによって作り出された「中産階層」のイメージと階層階級研究で語られたその実態との重なりとズレも明らかにし、中国の「中産階層」研究にメディア学的なアプローチを用いる必要性と有効性を指摘した。
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Research Products
(4 results)