2010 Fiscal Year Annual Research Report
局所領域の分光測定を用いたマントル由来物質の深さ起源の探求と新規材料の評価
Project/Area Number |
09J09595
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小竹 翔子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ダイヤモンド / 顕微ラマン分光法 / 地球深部物質 / ナノ多結晶ダイヤモンド |
Research Abstract |
地球内部の化学組成分布やマントル対流を考える上で、ダイヤモンドの成長環境は非常に重要な情報である。そこで、内部の残留応力からダイヤモンドが成長した(包有物を捕獲した)温度・圧力条件の推定を目指し、ダイヤモンド内部の応力分布を測定した。ブラジル産ダイヤモンドの内部にとりこまれた包有物周辺を昨年度までに開発した顕微ラマンマッピング装置で3次元的に測定し、包有物周辺の応力分布の可視化に成功した。 天然ダイヤモンドが生成した環境の酸化還元状態を推定する研究を昨年度に続き行った。遷移金属元素であるクロムは地球上の岩石中ではほとんどが3価または6価として存在することが知られているが、月の石など非常に還元的な環境では2価としても存在していることが報告されている。天然下部マントル鉱物であり、ダイヤモンドの包有物であるフェロペリクレース((Mg,Fe)0)中には、微量のクロムが含まれており、そのクロムの価数が下部マントルの酸化還元状態の指標になると考えた。天然フェロペリクレースは大きさが50μm程度と小さいため、マイクロXRF用のビームラインであるKEKPFのBL4Aで試料の微量元素のクロムと主要元素である鉄のXANESスペクトルを測定した。本年度は、天然試料の他に、酸素分圧をコントロールし電気炉で合成した標準試料の測定も行った。今後、鉄の詳細なキャリブレーションラインの作成を行い、クロムについても他のビームラインで得られた結果と比較し価数の詳細な議論を行う。 高圧発生用のアンビル材として最適な超硬材料であるナノ多結晶ダイヤモンド(NPD)は、大容量を必要とする高圧下での中性子回折などへの応用が期待されている。現在、実際にNPDを高圧発生用アンビルとして用いる実験が行われているが、超硬材料であるNPDを理想的な形状に加工する技術が必要である。そこで、エキシマレーザーを用いた、NPDを目的の形状に加工する試みを行なった。
|
Research Products
(2 results)