2009 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線偏光観測の実現で切り拓くブラックホール近傍部の探査と解明
Project/Area Number |
09J09603
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝田 隼一郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 偏光X線 / PoGOLite / コンプトンカメラ / 粒子加速 / フェルミ衛星 |
Research Abstract |
1,大型放射光施設SPring-8において実施した、Si/CdTe半導体コンプトンカメラの偏光測定実験の論文がまとめられた。この実験によって、コンプトンカメラが軟ガンマ線領域において非常に高精度の偏光測定能力を持つことを実証した。使用された検出器は次期X線天文衛星Astro-H搭載の軟ガンマ線検出器(SGD)のプロトタイプであり、Astro-Hによって軟ガンマ線偏光観測が可能になることを実験的に初めて明らかにした。さらに、この実験結果はコンプトンカメラの応答構築の研究にも貢献している。私はこの実験において、実験系の全体設計、アラインメント系とシールドの設計および製作を行った。 2,2010年に打ち上げ予定の気球実験PoGOLiteのモーター部分の組み上げを、宇宙科学研究本部において行った。この気球実験ははくちょう座X-1というブラックホール天体を観測予定で、世界初の硬X線偏光検出を目指している。私は広島大学や外部企業との共同作業により、ゴンドラを制御するモーター2台を完成させその実証実験を行い、問題なく動作することを確認した。 3,高エネルギー天体で起こる粒子加速の研究を行うため、宇宙線加速源の候補である超新星残骸(SNR)の研究を行った。フェルミ・ガンマ線天文衛星の観測データを用いて、加速粒子からのガンマ線放射の放射起源を探った。放射起源の特定によって初めて、粒子の加速機構の解明を詳細に研究することが可能になる。私は米国のSLAC国立加速器センターとの共同研究で、GeV領域で最も明るく輝くSNR W51C、W44、W49Bの解析を行った。投稿論文として発表されたW51CとW44ではバックグラウンド評価を担当し、そのエネルギースペクトルの決定に貢献した。またW49Bについては解析を主導しており投稿論文として準備中である。この一部の成果は、秋期天文学会において発表した。
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Research Products
(4 results)