2011 Fiscal Year Annual Research Report
20種類のアミノ酸は生命進化の必然の帰結か? : 単純化遺伝暗号表を用いた実験的検証
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09J09606
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河原 晃大 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝暗号表 / トリプトファン / MS2 |
Research Abstract |
私の研究の目標はトリプトファンを含まないバクテリオファージMS2の作成である。実験の手順は1.MS2を構成するタンパク質の遺伝子全体にランダムな変異を導入して変異遺伝子ライブラリを作成、2.どのような遺伝子配列に対してもトリプトファンを導入しないような翻訳系である「単純化遺伝暗号表」を用いて、ライブラリの遺伝子と産物のタンパク質が対応づいた形で翻訳、3.産物のタンパク質の活性を指標にして、活性を持つ変異体タンパク質および遺伝子を特定、4.トリプトファンを含まないMS2ファージを再構築、のステップからなる。 今回は、3.の達成のために必要な課題の1つを達成した。セレクションに用いる成熟タンパク質、コートタンパク質、複製タンパク質の遺伝子を大腸菌用のベクターに導入し、発現を確認した。今回の大腸菌での発現は、それぞれのタンパク質のセレクションの系を構築する予備実験のために、大量のタンパク質を生産する目的で必要不可欠のステップである。 また、2.に関して、単純化遺伝暗号表を記述した論文を投稿中である。本研究に用いるトリプトファンを含まない系を中心に、あるアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わる現象を、アミノ酸組成分析、立体構造解析などの手法を用いて様々な側面から示している。また、単純化遺伝暗号表は、普遍遺伝暗号表と同等の翻訳効率と正確性を有していることも明らかになった。当初はMS2ファージの進化実験の成果をとりまとめる予定であったが、研究機関の時間的な制約を考慮して遺伝暗号表に限った話題で執筆・投稿を行っている。
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Research Products
(1 results)