2009 Fiscal Year Annual Research Report
電子エネルギー構造を自在に制御したナノ結晶集積膜の作製と光デバイスへの応用
Project/Area Number |
09J09609
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
亀山 達矢 Nagoya University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 半導体ナノ粒子 / 交互吸着法 / エネルギー移動 / 光電気化学特性 / 太陽電池 / ナノ構造制御 |
Research Abstract |
半導体粒子はそのサイズが10nm以下になると、粒径や形状に依存して特異な光機能性を示すことから、これを利用した光エネルギー変換素子の開発が活発に行われている。デバイス応用に際してそれら半導体ナノ粒子は、例えばスピンコート法などにより、マトリクス中に均一に分散した状態で用いられてきた。一方で、ナノ粒子の配列や積層構造を制御することで、粒子どうしの集団的な相互作用を発現させれば、分散系にはない新たな機能やナノ粒子の特性を見いだすことができると期待される。そこで、本研究では交互吸着法と呼ばれる手法を用いて、静電的な相互作用により、半導体ナノ粒子を一層ずつ配列制御しながら積層した。これにより膜内部に、これまでの材料にはないナノメートルレベルでのエネルギー傾斜構造を構築した。 このような傾斜構造は、層状複水酸化物を単層に剥離したナノシートと粒径の異なる硫化カドミウムナノ粒子とを、透明電極基板上に交互吸着法により積層することで作製した。電極に対してより大きい粒子を積層した電極では、ナノ粒子内で光生成した励起子が、電極へのエネルギー傾斜により効率的に電荷分離することで、電極側からこれとは反対の向きへの傾斜構造を作製した場合と比較して、光-電気変換をおよそ2倍程度高効率化することができた。 本研究により確立される交互積層膜の設計指針は、自在なナノ積層薄膜作製法を明らかするとともに、高効率での光の利用を可能にする。従来型の複合材料は、複数の物質を単に混ぜることで機能を補うという設計指針により開発されてきたが、このように物質をうまく配列させ、それらの電子的・エネルギー的な相互作用を最大限に引き出すことができれば、これまでにはない新しい機能が発現するということを明らかにした。
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Research Products
(8 results)