2009 Fiscal Year Annual Research Report
地球中心核条件における超高圧超高温実験:鉄-軽元素合金の融解相関係の決定
Project/Area Number |
09J09624
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 春香 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地球中心核 / X線回折測定 / X線発光分光法 / 高温高圧 |
Research Abstract |
地球中心核は、酸素、珪素、炭素、水素、硫黄のうち1または数種類を含む鉄合金からなると考えられている。しかし、いまだにどの元素がどれだけ核中に含まれているかは明らかにされていない。この問題に対する有力なアプローチの一つは、「地球の冷却に伴い、外核の結晶化により内核が成長してきた」ことに注目し、結晶化の際の相平衡関係から核の軽元素を議論することである。鍵となる重要な観測事実は「外核(液体)中の軽元素量>内核(固体)中の軽元素量」である。核の軽元素は、結晶分別作用によりこの観測を満たすような鉄合金を作らなければならない。そこで、内核-外核境界において軽元素がどのように分別されるかを明らかにするために鉄-軽元素系の融解相関係を知る必要がある。 今年度は主に軽元素の候補の一つである硫黄に着目し、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いて250万気圧・3000度以上の超高圧超高温実験を行い、Fe-S系における相平衡関係を明らかにした。さらに、実験回収試料の化学組成分析を行うことにより、固体鉄中への硫黄の溶解度を決定することが出来る。その結果、250万気圧においては、固体鉄中には硫黄は1wt%以下しか溶け込まず、共融系であることが示唆される。内核-外核境界に相当する温度圧力条件(330万気圧約5000度)まで同様の相平衡関係が維持されるとすれば、硫黄は内核の主な軽元素ではないことが予想される。一方、第一原理計算によると、内核-外核境界に相当する温度圧力条件ではFe-S系は連続固溶体をとることが予想されている。さらに高圧高温で相平衡関係を引き続き調べる必要がある。
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Research Products
(2 results)