2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子を用いた鉱物表面における生体分子の選択的相互作用の可視化
Project/Area Number |
09J09632
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉野 徹 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 炭酸カルシウム / アミノ酸 / 表面 / 鉱物 / 原子間力顕微鏡 / ナノ粒子 / 結晶成長・溶解 / バイオミネラリゼーション |
Research Abstract |
21年度は、炭酸カルシウム結晶表面における生体分子、特にタンパク質を構成するアミノ酸の一種であるアスパラギン酸(Asp)の吸着挙動を評価するために、Asp水溶液中での炭酸カルシウムの溶解、並びに結晶成長過程を原子間力顕微鏡や走査型共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。これらの観察から、炭酸カルシウムの溶解時に結晶表面に形成されるエッチピットを構成する各ステップの内、壁開面に対して鈍角に切り立っているステップや、新たに出現する[010]ステップにAspがより吸着し易いことがわかった。また、結晶学的に等価なステップ間でもL体のAspは有意に一方のステップに選択的に吸着することがわかった。これらの結果は、先行研究で報告されている、炭酸カルシウムの結晶成長時のものと非常に調和的であった。これらの研究成果は、各国内及び国際学会で発表するとともに、国際誌Journal of Crystal Growthに投稿、受理されている。特に、日本鉱物科学会年会ではその成果が認められ、研究発表優秀賞を受賞した。 また、Aspで表面を修飾した金ナノ粒子の合成、及びその精製方法の検討を行った。その結果、2種類の方法で合成に成功し、動的光散乱の結果から、各々の方法で合成したナノ粒子のサイズがそれぞれ異なることがわかった。精製も限外ろ過により成功し、これらのナノ粒子を用いて、現在、原子間力顕微鏡を用いた炭酸カルシウム結晶表面での吸着分布のその場観察実験を進めている。
|
Research Products
(6 results)