2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子を用いた鉱物表面における生体分子の選択的相互作用の可視化
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09J09632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉野 徹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炭酸カルシウム / アミノ酸 / 表面 / 鉱物 / 原子間力顕微鏡 / ナノ粒子 / 結晶成長・溶解 / バイオミネラリゼーション |
Research Abstract |
22年度は、炭酸カルシウムの結晶成長過程を原子間力顕微鏡(AFM)でその場観察することで、結晶表面における生体分子、特にタンパク質を構成するアミノ酸の一種であるアスパラギン酸(Asp)の吸着挙動を調べた。その結果、炭酸カルシウムの結晶成長時に結晶表面に形成される成長丘を構成する各ステップの内、壁開面に対して鈍角に切り立っているステップではAspの影響が見られないのに対して、鋭角に切り立っているステップではAspがステップの進行を阻害することがわかった。さらに、様々な過飽和度でのステップ速度測定の結果、Aspの阻害メカニズムがキンクブロッキングによるものであることがわかった。 また、昨年度、合成及び精製に成功したAsp修飾金ナノ粒子をAsp分子のマーカーとして用い、AFMによるその場観察から結晶表面におけるAsp分子の吸着分布の可視化を試みた。AFMのコンタクトモードで測定を行ったところ、金ナノ粒子は観察されなかった。この結果は金ナノ粒子が表面に存在する時間が非常に短い、もしくは表面との相互作用が非常に弱いことを物語っている。そのため、今後はAFM測定の高速化やノンコンタクトモードでの測定が必要といえる。 また、本研究から派生する形で非晶質炭酸カルシウム(ACC)に関する研究を行い、AspとACCとの複合材料の開発に成功した。さらに、ACCが圧力誘起の結晶化を起こすことを見出した。これは全く新しい結晶化プロセスであり、新たな研究分野の開拓につながると期待される。
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Research Products
(6 results)