2009 Fiscal Year Annual Research Report
J-PARCにおける陽子ビーム増強のための油冷式カットコア高周波加速空洞の開発
Project/Area Number |
09J09662
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 裕一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | J-PARC / 加速器 / ファインメット / フロリナート / 加速空洞 / 陽子ビーム / RCS / 熱応力 |
Research Abstract |
J-PARCのビーム増強は素粒子・原子核実験にとって重要な課題である。競合する実験よりも先に結果を出すにはビーム増強が必要不可欠だからである。しかし現行RCS加速空洞内の金属磁性体コアが運転中に座屈してしまい、ビーム増強が困難な状態にある。筆者は新型コア、冷却方式の開発による加速空洞の安定運転、さらにはビーム増強を目標としている。 筆者は熱応力の緩和のためにはコアを機械的にソフトにすべきであると考え、従来行われていたエポキシ樹脂含浸工程を経ないコアを採用することにした。専門業者に当該コアの製作を依頼し、秋に納入した。当該コアをG-10材の板で挟み込み、コア表面に3mmの隙間を残してこれを冷媒の通る流路としている。流路の形成により冷媒の流速を高め冷却効率のよい乱流域での冷却が可能となる。冷媒として化学的に攻撃性のないフロリナートを使用する。G-10板とコアの一体化モジュールを組み込むためのステンレス製タンクも冬に納入した。G-10板の設計には冷媒の流れのシミュレーションが必要であったが、筆者は熱流体のシミュレーション手法を確立し、設計に生かしている。なお、夏に1/2サイズの流路を製作し、流れの可視化試験を行ってシミュレーションの妥当性を確認している。またタンクとその周辺部品は電磁場の共鳴器となっており、それらの寸法の決定に不可欠な電磁場シミュレーションについても手法を確立し、図面の作成に役立てている。さらに小型のフロリナート循環系を製作して、流路を流れる高速の冷媒によりコア表面が損傷を受けるかどうか確認する試験を行い、全く損傷が見られないことを確かめた。一方、加速空洞に電磁場を供給するための高周波源、および冷媒を循環するための冷却系は実績のある業者に製作を依頼し、どちらも冬に納入している。 コアの座屈問題の研究も東京大学生産技術研究所および物質・材料研究機構と協力して行い、熱応力が座屈の原因であることの裏付けが得られた。
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Research Products
(2 results)