2009 Fiscal Year Annual Research Report
時空間計量経済モデルの推定へのマルコフ連鎖モンテカルロ法の応用
Project/Area Number |
09J09673
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒瀬 雄大 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分位点 / VaR / 非対称両側指数分布 / 平滑化スプライン / 状態空間法 |
Research Abstract |
当該年度には、時系列データに対する分位点の動的挙動の解析に焦点を当てた研究を行い、国内における学会、研究会で発表をしました。 確率分布の裾の分位点であるValue at Risk(VaR)はリスク管理の指標としてしばしば用いられているため、本研究ではその時系列的な変動をモデル化することにより、リスク評価に有効な方法を提案することを目指しました。具体的には、分位点(状態変数)が時間と共に変動するような状態空間モデルを考え、ベイズ・アプローチを用いてマルコフ連鎖モンテカルロ法により母数の推定を行います。ここで、推定される分位点の変動がある程度安定的でないと、例えばバックテスティングを満足するような安定的な予測量を得られないことが分かりました。そこで、分位点の挙動に平滑化スプラインの制約を課すことで、変動を制約することを考えます。この場合も、分位点を含む状態変数ベクトルが正規自己回帰過程に従うことが示されているので、再び上記の状態空間アプローチでモデルを解くことができます。これにより、提案した方法の有用性が示せました。更に、状態変数の推定を逐次的に行うシングルムーブサンプラーではなく、同時に行うマルチムーブサンプラーで行うことで、より効率的に推定を進めました。 また、分位点はある種の絶対誤差を損失関数とした場合の解ですが、損失関数をある種の二乗誤差とした場合、解として期待値の分位点ともいうべぎ"expectile"が得られます。本研究ではexpectileについても分位点と同様なモデル化を行い、経済時系列データに対してこれを適用しました。
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Research Products
(3 results)