2011 Fiscal Year Annual Research Report
時空間計量経済モデルの推定へのマルコフ連鎖モンテカルロ法の応用
Project/Area Number |
09J09673
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒瀬 雄大 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 時変分位点 / 多変量確率的ボラティリティ / 動学的均一相関 / 非対称性 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / マルチムーブ・サンプラー / レバレッジ効果 |
Research Abstract |
当年度には、分散項(ボラティリティ)が時間変動する多変量資産収益率の経時データのモデリングおよび単変量時系列データの確率的に時間変動する分位点のモデリングに関する研究を行いました。 1.ボラティリティが時間変動する多変量モデルにおいては、推定する母数が増えるので、高次元データを扱う際に共分散構造の推定が困難になります。ここでは確率的ボラティリティモデルについて収益率の相関構造が均一かつ時間変動するモデルを考えます。更に、株式日次収益率データにおいて、前日に収益率が減少すると翌日に分散項の増大が観察されるレバレッジ効果、あるいは異なる株式の収益率と分散項の交差レバレッジ効果まで考慮してモデリングを行いました。これらは非線形状態空間モデルで表現され、マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法による効率的な母数のベイズ推定方法である、ブロックサンプラー(マルチムーブ・サンプラー)を構成しました。東証株価指数の業種別日次収益率データを用いた実証分析を行い、提案したモデルの有用性を示しました。続いて、資産収益率間の相関が均一であるという仮定を緩め、複数の資産収益率群内で相関構造が均一であり、集団間では異なるというモデルへの拡張を目指します。レバレッジ効果・交差レバレッジ効果も含めて、集団内・集団間での異なる相関構造の研究を進めています。 2.単変量時系列データの分布の裾の挙動を説明するモデルを提案します。被説明変数の確率的に時間変動する分位点を状態空間表現を用いてモデル化しました。更に、株式日次収益率データにおけるレバレッジ効果のモデリングに倣い、被説明変数とその一期先分位点の相関もモデルに含め、マルチムーブ・サンプラーを用いた、MCMC法による効率的なベイズ推定法を提案しました。日本のインフレ率のデータによる実証分析を行い、ディスカッションペーパーとしてまとめ投槁、更に改訂を行いました。
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Research Products
(4 results)