2009 Fiscal Year Annual Research Report
大規模POSデータを用いた解析手法の確立およびその応用
Project/Area Number |
09J09684
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上野 弘道 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 経済物理学 / POS / 小売 / 価格 / 消費者 |
Research Abstract |
当該年度はスーパーマーケットにおける大規模POSデータを用いて2つの観点から解析した。 1.商品価格時系列の解析 直近の20年間で日本経済はバブル・デフレ・近年の大不況など経済状況が急激に変化した。本データには同期間における小売の商品販売価格が記録されており、小売における商品価格変動の特性を理解することを目的に商品価格に対して時系列解析を行った。具体的には複数店舗で販売されている同一商品の平均価格を定義し、複数商品に対してケーススタディを行った。先に定義した価格時系列は非定常であるために移動平均を用いてトレンドとそれ以外の成分に分離し、トレンドを除去した時系列に対してARモデルを用いて近似した結果、AR1で近似される商品があることを示した。また、トレンドに関して原材料価格の高騰との関係からも解析を行い、原材料価格の上昇と連動して商品価格が上昇していることを示した。 2.商品販売数時系列の解析 消費者の購買行動の理解を目的に商品販売数時系列の解析を行った。小売店において商品は定価と特売により販売されている。商品の販売数は特売時には定価時に比べて販売数が数百倍程度に急激に上昇することはこれまでの解析で示した。該当年度では価格変化が見られない定価時の販売数時系列に着目した。解析の結果、価格が一定である際には販売数は来店者数と線形に近い比例の関係で示されること、時々刻々と平均販売数が変動することを示し、これらの2つの効果を補正することで販売数時系列がポアソンプロセスで近似される商品が多数存在することを示した。
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Research Products
(2 results)