2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業100万社の取引ネットワーク構造解析と企業連鎖成長の確率モデル
Project/Area Number |
09J09685
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 隼史 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 経済物理 / 輸送現象 / 複雑ネットワーク / データ解析 / 取引ネットワーク / べき乗則 / 企業財務情報 / Zipf's則 |
Research Abstract |
本年度は,前年度に引き続き企業取引ネットワークの輸送の研究をより深めた。また、従業員数等、他の財務量とネットワークの関係を調べた。まず、前年度の成果である企業ネットワーク構造のみから企業の売上を再現するモデルを論文化をおこなった(New Journal of Physics誌に掲載予定)。加えて,本結果を物理学会の秋季大会および数理社会学会で発表を行った。さらに、本年度は、前年度に加え、モデルの性質の理論的な解析を行った。結果、企業モデルの性質が次数次数相関と呼ばれるネットワーク特徴量と企業の売上の定常分布の指数の関係式を導いた。また,我々の使用している以外のデータでもほぼ我々のデータと同等の結果がでることが確認され,モデルの再現性が高いことがわかった。 さらに、本年度は、売上以外の量とネットワークとの関係、また、その相関ゆらぎの関係を調べた。その結果、従業員の次数条件つきパーセンタイルは次数に比例すること、次数と売り上げ、次数と従業員数の条件付きパーセンタイルには1.3乗のスケーリング関係があることを示した。また、次数と従業員数、次数と売り上げ、及び、従業員と売り上げにゆらぎのスケーリング関係が存在することがわかった。また、2変数の関係以外にも3変数間でも中央値のあいだに自明でないスケーリング則があることを示した。次に、これらのスケーリング則をすべてみたす確率モデルを提案した(物理学会年次大会で発表)。これらのスケーリングは、従業員数に重みが比例する金の輸送モデルと関係している可能性が高く。来年度以降、できればその研究を進展させたい。
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Research Products
(5 results)