2010 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト社会のジェンダーと法識字:女性によるイスラーム言説の創出と利用
Project/Area Number |
09J09706
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶺崎 寛子 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジェンダー / イスラーム言説 / エジプト / 法識字 |
Research Abstract |
当該年度は育児による研究中断からの復帰のため、9月1日から3月3旧までの7カ月間のみであった。 本研究の目的は「ムスリマによるイスラーム言説の創出および利用の実態を、彼女たちの日常実践と法識字レベルとに注目して明らかにすること」である。本年度の研究では、イスラーム言説にかかるムスリマ(イスラーム教徒の女性)の主体的活動について、主に法識字による差異に焦点を当てて分析する。 本年度は具体的には、1)イスラーム言説をめぐる、ムスリマたちの多様な日常実践について、英語で学会発表を行い("The Ongoing Struggle : Female Preachers, Religious Authority, and Gender in Egypt")、2)イスラーム世界のジェンダーについて研究する際に留意すべきことについて、英語論文を発表した("A READING OF GENDER ISSUES IN MUSLIM SOCIETIES : For Non-Muslims Who Live In Developed Countries")。なお、1)の発表はブリル出版より、2011年中に論文として出版される予定である。 1)では、女性説教師たちを事例として、イスラーム言説に女性たちが積極的に関わりつつあること、その関わり方の程度は彼女たちのイスラーム法にかかる法識字と比例していることなどを文化人類学的手法によって明らかにし、学会発表を行った。女性たちの主体的な宗教的実践にグラスルーツから迫った点に本稿の意義と独創性がある。 2)イスラーム世界を特殊な世界とみなし、彼らを他者としてまなざすこと、つまりはオリエンタリズムとジェンダーバイアスによって、ムスリマへのまなざしがいかに歪められているかをまず認識すべきことと、そのうえでイスラーム世界におけるジェンダーを読み解くために留意すべきことについて、先進国の非ムスリムを想定して示し、ジェンダー研究の成果を踏まえて整理・分析した。
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Research Products
(5 results)