2009 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラガス属植物における擬葉の発生および多様化機構の解明による擬葉進化の考察
Project/Area Number |
09J09716
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 北斗 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | アスパラガス / 擬葉(仮葉枝) / 進化 |
Research Abstract |
アスパラガス属植物は本来、側枝が発生する葉腋の位置に、擬葉(仮葉枝)と呼ばれる葉状器官を形成する。この特異なシュート構造である擬葉の発生、およびその多様化機構の理解を目的として研究を行った。擬葉の基本的な発生を理解するために、Asparagus asparagoidesを、属内の擬葉形態の多様化を理解するために擬葉の形態が棒状のA.officinalisを解析に選んだ。これら2種を比較解析することにより、上記の問題解決に挑んだ。 樹脂切片および電子顕微鏡を用いた形態観察により、A.asparagoidesの葉状の擬葉では解剖学的に背腹性を有していること、A.officinalisの棒状の擬葉では、背腹性を有していないことを明らかにした。さらに、これら2種のシュートおよび葉の形態形成に関わる遺伝子群の発現解析を行った結果、両種の擬葉において、葉の形態形成に関わる遺伝子群が発現しており、擬葉の形態が棒状のA.officinalisでは、葉の平面成長に必要な向背軸の確立に欠損があることを明らかにした。また、発現解析の過程で、葉において発現している遺伝子全てが擬葉において発現しているわけではないこともわかった。なお、発現解析に用いたAaDLに関するデータの一部は、Nakayama et al.2010として国際誌American Journal of Botanyに掲載され、論文中の図が掲載号の表紙に採用された。 以上より、側枝の位置に発生し、葉状の形態を呈するアスパラガス属の擬葉は、葉の形態形成に関わる遺伝子の発現により葉状化していることが示唆された。また、擬葉の起源は側枝の変形である可能性が高いと考えられた。擬葉の形態の多様化に関して、A.officinalisでは背腹性関連因子の変化により、擬葉が平面成長できないために棒状となっていることが示唆された。
|
Research Products
(5 results)