2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09764
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 雄介 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 朝幕関係 / 朝廷財政 / 京都代官 / 口向 / 天皇 |
Research Abstract |
江戸幕府は、朝廷に一定の政治的・宗教的必要性を認め、財政的基盤の保障や支援を行った。これを受けて、朝廷ははじめて機能・存続できた。幕府による保障や支援は、朝幕関係を根底の所で支えていた要素の一つといえる。したがって、保障や支援のあり様(方式や額等)を明らかにすることは、朝幕関係を考える上で重要な課題となる。 それにも関わらず、先行研究はほとんどなく、基礎的な事実にも不明な点が多い。そこで、本年度はまず、近世中後期を中心に、幕府から朝廷への保障や支援のあり様を明らかにし、それを切り口に朝幕関係を考えた。以下、その成果の概要を述べる(なお、掲載雑誌名などについては、「11研究発表」欄を参照)。 まず、「近世後期の朝廷財政と京都代官」について。当該論文では、従来不明であった、保障や支援の財源について、近世後期を対象に検討を加え、京都代官が管理していた金銭が主な財源であったことを指摘した。 つぎに、「近世の朝廷財政と実務役人」。近世朝廷の勘定役人ともいうべき、「口向」諸役人の具体的な職掌や人事を、寛政年間以降を中心に検討を加えた。さらに、かれらの人事に対する幕府の関与も見た。 最後に、「18世紀の朝廷財政と朝幕関係」(学会報告)について。この報告ではまず、18~19世紀初頭を対象に、幕府から朝廷への保障や支援のあり様を明らかにし、幕府による保障や支援は、天皇らが「不自由」しないようにすることを、最低限の水準としていたことなどを指摘した。そのうえで、それを当該期の幕府財政政策などと比較した。 以上、近世中後期を中心に、幕府から朝廷への保障や支援の実態を明らかにし、それを幕府財政政策などと比較、幕政史の中に位置づけることを試みた。
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Research Products
(3 results)