2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09769
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
疋田 克善 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 芳香族ポリケチド / 多環性骨格 / イソオキサゾール / イソオキサゾリン / ニトリルオキシド / キノンモノアセタール / [3+2]付加環化反応 / 酸化反応 |
Research Abstract |
天然に存在する生理活性物質のなかにはアントラキノン骨格を母核とするものが数多くある。こうした天然物の合成手法は有機化学の発展により確立されつつある。しかしながら、環の一部が脱芳香化され高度に官能基化されたアントラキノン誘導体の合成法の開発は、未だに解決されていない問題の一つである。現在、このような芳香族ポリケチド化合物の合成に向けて、生合成経路に基づいた試みも見られるが、今のところ脱芳香化の選択性や官能基導入の際の立体制御が困難なことから有望な知見は乏しい。また、脱水芳香化が容易に起こることから、有機合成的に構築することも極めて困難であり、新しい合成法の開発が望まれる。 そこで、当研究者は当研究室にて開発されたニトリルオキシドと1,3-ジケトンとの多環骨格構築法を応用することで、まずAuxarthrol Bのようなポリオール天然物の合成法を確立することを目的として研究を開始した。そして、今年度の研究において、ニトリルオキシドとキノンモノアセタールとの[2+3]環化付加反応に注目して、さまざまな置換基を有する多環性イソオキサゾール誘導体の合成に取り組んだ。すなわち、キノンモノアセタールの持つ高い酸化度を利用することで、目的とする天然物の置換基を効率的に導入することを目指した。検討の結果、ニトリルオキシドとキノンモノアセタールは加熱することで速やかに反応し、高収率でイソオキサゾリンを与えることが分かった。続いて、このイソオキサゾリンを二酸化マンガンで酸化することで、対応するイソオキサゾールが収率良く得られた。その後に、分子内ベンゾイン生成反応をこの系に適応し、新たに環を形成してアントラキノン等価体である多環性イソオキサゾールを合成した。当合成手法はニトリルオキシドもしくはキノンモノアセタールの置換基を変更することにより、高度に酸化されたさまざまななアントラキノン誘導体を効率的に合成であり、天然物合成の有用な中間体となることが期待される。
|
Research Products
(1 results)