2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09775
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
古川 達也 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | モノフルオロメチル / 糖類 / オスムンダラクトン |
Research Abstract |
医薬品や農薬の開発において最も利用価値の高い元素の1つにフッ素原子が挙げられる。たった数個のフッ素原子を有機化合物に導入するだけで化合物の安定性,脂溶性および生体内利用率といった生理活性を左右しうる化学的および生物学的特徴を劇的に変化させるケースが多々報告されているからである。一方,糖鎖は細胞表層に糖脂質,生理活性多糖,糖タンパク質として存在し,細胞間の生体認識シグナルとして生命現象で重要な役割を果たしている。そこでフッ素化学と糖鎖化学を融合したフルオロ糖類(Osmundalactone)の合成を行うこととした。フルオロ糖類の合成にあたりモノフルオロメチル化反応に着目した。モノフルオロメチル化反応は近年,盛んに研究されている分野の一つである。そこでまずフッ素を導入するためにビスフェニルスルホニル基を有する新規モノフルオロメチル化試薬(FBDT)の開発を行った。合成したFBDTはさまざまなアルデヒド類に対して求核付加反応が進行することを見出した。さらに得られたFBDT付加体は脱スルホニル化を行うことでモノフルオロメチルアルコールへと誘導することが可能である。シンナムアルデヒド由来のモノフルオロメチルアルコールはLipaseを用いた速度論的分割によって光学純粋にすることが可能である。その後,アルコール部位を,オレフィンを有するカルボン酸によってエステル化し,さらにGrubbs触媒によってラクトンを得た。得られたラクトンはエポキシ化,エポキシの開環を経ることでOsmundalactoneの合成に成功した。
|