2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ脊髄accessory lobe内におけるニューロンの機能的検討
Project/Area Number |
09J09789
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山中 祐子 Yamaguchi University, 大学院・連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鳥類 / 歩行 / central pattern generators / marginal nucleus / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
脊髄には上位中枢や末梢からのフィードバックを必要としない運動リズムを発生する神経回路、Central Pattern Generators(CPGs)が存在している。脊髄腰膨大のCPGs構成ニューロン(CPGニューロン)は両側の運動ニューロンに投射しており、脊髄動物が左右の協調した動き(歩行など)を行う際に重要な役割を果たしていると考えられている。Marginal Nucleus(MN)ニューロンはこのCPGニューロンと同様、両側の運動ニューロンに投射していることが形態学的に示されおり、MNニューロンもまた鳥類の歩行に深く関与しているのではないかと推測されている。 そこでCPGニューロンとMNニューロンの比較検討のための実験を開始したところ、MNニューロンに機械刺激誘発性または自発性スパイク活動と、代表的な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸によるスパイク活動が存在することが明らかになった。このスパイク活動は電位依存性Na^+チャネルブロッカーと代表的な抑制性神経伝達物質であるGABAによって消失した。グルタミン酸誘発性スパイク活動はイオン向性グルタミン酸受容体ブロッカーによって消失しなかったこと、顕著なグルタミン酸誘発性電流が観察されなかったことから代謝向性グルタミン酸受容体による可能性が考えられた。また、GABA_A受容体アゴニストをMNニューロンに作用させたところ各スパイク活動は消失または減弱したが、GABA_B受容体アゴニストではスパイク活動の消失はほとんど見られなかった。このことから、GABAのスパイク抑制作用は主にGABA_A受容体を介して行われていると考えられた。これらの性質は他のCPGニューロンで報告されている細胞生理学的性質と一致していた。 今回の結果はMNニューロンがCPGニューロンとしての機能を有する可能性を示唆するものであり、新しいCPGsの発見が期待された。
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