2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09821
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
綿村 英一郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量刑判断 / 応報 / 潜在 / 直感 / Implicit Association Test |
Research Abstract |
法の素人である一般市民が直感的に行う量刑判断について実験的な検討を行った。先行研究から、一般市民は特に意識することなく、すなわち潜在的に応報的な判断方略をとっている可能性が示唆されている。応報的な判断方略とは、犯罪の重大性と均衡するように量刑の重さを決めるという方略のことである。これまでの研究は、応報的な判断方略の潜在的なはたらきを仮定しているものの、それを実測するには至っていなかった。そのため、量刑判断の心理は、判断者が報告する顕在的な評価や態度から分析せざるをえなかった。しかし、顕在的には「応報的に判断しているつもりはない」と報告していても、実際には応報的な判断方略を用いて量刑を決めているという矛盾が多く見られた。そこで本研究は、Implicit Association Test(潜在連合テスト)のパラダイムを応用し、応報的な判断方略の潜在的なはたらきを実測する方法を考案した。その方法の妥当性を検証するため、本研究では2つの実験を行った。第一の実験では、犯罪に関連するビデオを呈示することにより、応報的な判断方略が潜在的にはたらくようになるかどうかを検証した。第二の実験では、応報的な判断方略のはたらきの強さに個人差があることに注目し、その強さの違いがその人の量刑判断の傾向とどのように関わっているのかを調べた。それら一連の実験結果から、考案した方法が応報的な判断方略の潜在的なはたらきをうまく測定できているということが示された。今後の研究では、この方法を応用することにより、一般市民の量刑判断の心理プロセスについてより詳しい検証を行う。
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Research Products
(4 results)