2011 Fiscal Year Annual Research Report
既往岩石試験の活用および新規評価手法による岩盤評価の高度化に関する研究
Project/Area Number |
09J09848
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 裕行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 花崗岩 / 造岩鉱物 / 微小圧子押込み試験 / 岩盤の工学的評価 / 岩盤掘削 |
Research Abstract |
微視的なレベルで風化変質作用を受けているような岩石・岩盤においては,円滑な加工や掘削を行う上でその風化変質の程度や強度的脆弱化の程度に関する適切な評価が求められる.化学分析によって風化変質の兆候を捉える試みは従来から行われているが,強度的な脆弱化の程度が定量的に評価されることはほとんど無い.本研究では,岩石の力学試験として用いられることの無かった微小圧子押込み試験を使用し,微小レベルでの力学特性の評価を実施した.これまでに,鉱物・岩石試料に対する同試験の適用性,代表的な鉱物の力学特性,風化変質作用の有無による鉱物の力学特性の違いが明らかになった.以上の知見と実施工記録を踏まえて岩盤掘削時の岩盤・岩石の破砕状況を推定し,微小レベルにおける鉱物の力学特性と掘削特性の関係を総合的に検討した.その結果,風化変質作用によって特定の鉱物の強度特性が選択的に脆弱化し,局所的な強度特性の分布が不均質な岩石の場合,掘削時に円滑に岩石が破砕しないことがあり,岩石レベルで評価された強度特性だけでは掘削の難易を適切に判断できない可能性があることが明らかとなった。岩盤評価段階において,本研究で提案した微小圧子押込み試験を岩石試料に対して実施すると,微小レベルの強度特性分布を定量的,客観的,直接的に評価することができ,掘削障害を引き起こす可能性の有無を事前に評価可能と考えられる. また,混在岩・砂泥互層に関連し,人工の模擬供試体を対象として一軸圧縮試験,割裂引張・一軸引張試験等の室内試験を実施した.同一材料を用いて作製された壁状試験体の振動台試験結果に対して,室内試験結果に基づいて数値モデルを作製し,有限要素解析を実施した.解析の結果,壁状試験体の層境の引張強度は室内試験で得られた引張強度の20%程度と算定され,弱部である層境の存在を考慮しなければ全体的な強度を過大評価する可能性が高いことが示された.
|
Research Products
(4 results)