2009 Fiscal Year Annual Research Report
アッバース朝宮廷の酔客達-ナディーム制度の成立過程と宮廷詩人の政治的役割の分析-
Project/Area Number |
09J09860
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 さやか The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イスラーム史 / アッバース朝 / 宮廷文人 / ナディーム / 詩人 |
Research Abstract |
当研究では、ナディームと呼ばれるアッバース朝時代の宮廷文人達の研究を行っている。この研究を通じて、従来の政治史研究では明らかにされてこなかったアッバース朝宮廷の権力構造やアッバース朝宮廷の在り方を考察することを目的としている。 本年度は、ナディームが政治的影響力を保有するようになった9世紀初頭のカリフ政権の状況を分析し、ナディームが高位の官職に就任するようになった要因を、当時の官僚制度の変化やカリフが官僚に求めた素質の分析から明らかにした。またこの分析を通じて、詩才や修辞学が9世紀以降、官僚が備えるべき学問として発展し、9世紀半ば以降、理論化されたことを論じた。この研究成果を平成21年10月に日本オリエント学会第52回大会にて発表した。 またナディームの中心的存在であった詩人達の社会的立場を分析し、有力者へ称賛詩を捧げて報奨金を得る「称賛詩人」であった彼らが、最終的にはアッバース朝カリフの称賛詩人となり、政権に取り込まれる過程を論じた。この研究発表は、ベイルートの国際学会Middle Eastern and Islamic Studies in Japan : the State of the Artで発表した。
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Research Products
(2 results)