2011 Fiscal Year Annual Research Report
食品ポリフェノール類の生体内標的分子の探索と作用分子機構の解析
Project/Area Number |
09J09895
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石坂 朱里 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリフェノール / ケルセチン / iNOS / COX-2 / JNK / マクロファージ |
Research Abstract |
ポリフェノールの中でもケルセチンに焦点を当て、ケルセチンの生体内標的部位および標的分子の同定を行うことで、ポリフェノールの機能性・安全性に関わる作用分子機構を明らかにすることを目的とした。 これまでに、マクロファージ(Mφ)におけるケルセチンの抗炎症作用を検討した結果、MAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)の1つであるJNK(Jun-N末端キナーゼ)の活性化を阻害することで、炎症関連酵素であるiNOS(誘導型NO合成酵素)およびCOX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)の発現を抑制することが分かった。しかしながら、ケルセチンは生体内において、グルクロン酸や硫酸などが抱合した代謝物として存在しているため、ケルセチン代謝物の状態で作用するかどうかが重要なポイントと考えられた。そこで、ヒトやラットの血液中に存在する主要な代謝物であるケルセチン-3-グルクロニド(Q3GA)を用いて、同様の検討を行ったが、抑制作用は見られなかった。 一方、ケルセチン代謝物は生体内を循環する過程で、脱抱合酵素(β-グルクロニダーゼ)によって局所的にアグリコンへと脱抱合されることが示唆されている。そこで、マウスの各種臓器と腹腔Mφにおけるβ-グルクロニダーゼの発現量を検討したところ、腹腔Mφで顕著に発現がみられた。また、Mφが多いことが知られている脾臓や胸腺でも発現がみられた。そこで、炎症刺激剤であるLPS(リポ多糖)を腹腔投与したマウスを解剖し、脾臓と胸腺を採取して、β-グルクロニダーゼとCD14(Mφマーカー)の発現量を検討した。その結果、LPS投与量依存的に、脾臓と胸腺において、それぞれの発現量が増加することが明らかとなった。したがって、Mφの浸潤・活性化に伴い、β-グルクロニダーゼの発現量が増加すると考えられた。以上より、Mφは、ケルセチン代謝物が脱抱合されて作用を発揮することができる標的細胞であると示唆された。
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Research Products
(3 results)