2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物における側根から不定シュートへの置換の分子機構に関する研究
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09J09914
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
厚井 聡 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | オトギリソウ科 / 発生 / 形態形成 / シュート / 根 / 分裂組織 |
Research Abstract |
根は、普通側根を形成するが、分類群によってはシュート(不定シュート)を形成する。しかし、モデル植物のシロイヌナズナが自然条件下で根から不定シュート形成を行わないことから、その分子機構は解析されていない。本研究の目的は、自然条件下で根から不定シュート形成を行う種を用い、不定シュート形成と側根形成を分子レベルで比較することにより、「根からの不定シュート形成」の分子機構を明らかにすることである。セイヨウオトギリ(オトギリソウ科)では、地中の根の一部が水平方向に伸長し,不定的にシュートを形成する。上胚軸を切除することで根からの不定シュート形成を誘導する系を用いて観察を行ったところ、不定シュートは根の木部に近接した内鞘組織から発生した。一方、側根は木部に接した内鞘組織および内皮組織から発生した。従って、不定シュートと側根の発生開始機構は一部共通している可能性が示唆された。不定シュートのアイデンティティがどのように確立するのかを分子マーカーを用いて解析するため、茎頂分裂組織と根端分裂組織の形成・維持に関わる遺伝子の単離を行い、SHOOT MERISTEMLESS (STM)、WUSCHEL (WUS)、WUSCHEL-LIKE HOMEOBOX 5 (WOX5)の相同遺伝子を単離し全長を決定した。現在、これらの遺伝子のRNAプローブを作成し,in situ hybridization法により発現解析を行っている。また、不定シュートの発生開始にどのような植物ホルモンが関わるのかを明らかにし、生理学的な側面からも側根形成との比較解析を行っている。
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Research Products
(5 results)