2010 Fiscal Year Annual Research Report
液体の表面張力によるマイクロマクチュエーションの解明
Project/Area Number |
09J09919
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武居 淳 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 表面張力 / エレクトロウェッティング / マイクロアクチュエーション |
Research Abstract |
採用第2年度目となる今年度は日本学術振興会優秀若手海外派遣事業を通じてフランスのパリ市立工業物理化学高等大学の研究室にて研究をおこなった。当該研究室は表面張力が構造に及ぼす作用についての知見が豊富である。液滴上に薄膜を配置した際に観察される薄膜の変形、および濡れている球面上に薄膜をのせた時に現れる模様についての理論、シミュレーション方法を学んだ。薄膜と液滴を組み合わせれば新たな機能を実装したアクチュエータができると当初構想していたが実現には至らなかった。しかしながら、上記研究を通じて習得したソフトウェア(Surface Evolver)を用いてシリコンで形成される微小構造を液滴上に配置した際の安定性をシミュレートした。シミュレーション、実験、理論的考察を通じて、液滴が1mm程度の場合液滴に浮かぶ構造は表面張力および内圧により支えられていることがわかった。この結果は論文にまとめJournal of Micromechanics and Microengineeringに投稿し現在リバイズ中である。また、今年度は研究成果の発表を積極的に行った。今年度の初めには液滴の形状をエレクトロウェッティングで連続的に変化させることで液滴上の構造物を運動させるデバイス「キャピラリーモーター」が学会誌Lab on a chipにて出版された。研究内容は学会誌の表紙を飾ると共に、webマガジン「Highlights in Chemical Technology」に掲載された。また、出版社Springerの刊行物「Surface Tension in Microsystems」において液滴上の構造が回転する際にはたらくトルクに関する理論を執筆することが決定している。研究計画において、液滴上の構造物の運動する際の慣性および粘性の影響を考察する予定だった。前年度までに代表長さ1mmから10mmの間では回転の際に慣性は代表長さの5乗、長さは代表長さの3乗に比例することを実験的に求めた。今年度は上記結果の適用できる範囲を考察したかったが1mm以下のサイズでの実験の困難さから、明らかな進展は得られなかった。
|
Research Products
(1 results)