2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代中国の国家形成と外交 : 中華民国北京政府を中心に
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09J09941
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 康治 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 近代中国 / 英中関係 / 中国外交 |
Research Abstract |
2011年7月までは、前年度に引き続きロシアでの在外研修を行った。ロシア語の習得に加え、外務省史料館、政治社会史資料館で短期間ながら研究を行った。また、モスクワに滞在中の英語圏のロシア・ソ連史研究者とも意見交換を行い、英語圏における研究潮流を感じ取ることができた。 また、国際学会での英語発表を二回行った。一つ目は、ロシア滞在中の5月に香港・嶺南大学にて行われたイギリス帝国史の会議「Empire State of Mind : Articulations of British Culture in the Empire,1707-1997」で、二つ目は8月に英国ブリストル大学で行われた英中関係史の会議「Britain and China : Past,Present and Future」である。いずれにおいてもかつて中華人民共和国の第一歴史档案館・上海市図書館・四川省档案館などで収集した資料と、イギリスのNational Archivesで収集した資料を対照させながら用いることで、1905年から1911年に至る時期のイギリスの中国における鉄道借款政策について新しい見方を示した。学会発表のために執筆した原稿は現在修正中であり、Robert Bickers教授編纂の英語論文集に掲載が決定している。 また、中国語の論文の翻訳を通じて、中国語圏の研究成果の日本の読者への紹介にささやかながら貢献した。『岩波講座 東アジア近現代通史』第4巻(岩波書店、2011年)に収録された唐啓華「1920年代の中露/中ソ関係」を翻訳した。また、2011年12月3・4日に東京大学で行われた「辛亥革命百周年記念東京会議-グローバルヒストリーの中の辛亥革命」における唐啓華・王建朗両教授の基調講演を日本語訳した。 なお、昨年度の時点でModern Asian Studies誌に掲載が決定していた英語論文については、本報告書執筆時点ではいまだ掲載時期が未定であるが、これを利用して若干の手直しを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外の学界において英語で研究発表を行うという、2011年度まではまだ出来ていなかったことを2012年度には二回行うことができた。このため、研究者として新たな経験を積んだという点で、また自分のプレゼンテーション能力にまだ不足な点があることを自覚できた点で、よかったと思う。ただ、会議用に作成した論文が英語で刊行される予定であるとはいえ、当該年度中に公刊された論文が一本も無かった点は残念である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の目標は、今までに発表してきた論文の内容を踏まえて、近代中国における国家形成と外交の連関について、対外借款を通じて通観した博士論文をまとめる作業が中心になる。基本的には今までと同様の視点・手法で資料を読み込み、今まではカバーできていなかった時期・ケースについてまとめていく作業になる。
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Research Products
(3 results)