2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規磁性半導体コアシェルナノ結晶の合成および光磁気特性の評価
Project/Area Number |
09J10009
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 厚 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノ粒子 / ナノ結晶 / 自己組織化 / 希土類 / 磁気光学特性 |
Research Abstract |
EuS(硫化ユーロピウム)は伝導帯と価電子帯の間に縮退したf軌道を有するfcc型の磁性半導体であり、f-d遷移に帰属される光学遷移を示す。この電子遷移が大きな磁気光学効果の発現を誘起することから、光磁気メモリや光通信用アイソレータへの応用が期待されている。これまでEuSのナノサイズ化による特異的な光磁気特性が報告されているが、自己組織化による超格子構造の制御に関しては未だ検討されていない。EuSナノ結晶から形成される超格子構造体は、ナノ結晶間の磁気的相互作用により特異的な光磁気特性が期待できる。本研究では、自己組織化による球状および立方体型EuSナノ結晶の3次元超格子構造の作製を検討した。 EuSナノ結晶はジチオカルバミドEu(III)錯体を熱還元することにより合成した。またEuSナノ結晶の形状制御は熱還元時間等を変化させることで行った。化合物同定は粉末X線構造解析(XRD)で行った。得られたEuSナノ結晶は透過型電子顕微鏡(TEM)測定より平均サイズ4nm(球状:反応時間30分)および14nm(立方体型:反応時間6時間)であることが分かった。これらのEuSナノ結晶をトルエンに分散し、トルエン溶媒を大気下・室温で蒸発させることによってEuSナノ結晶超格子の作製を試みた。TEM観察の結果、球状および立方体型EuSナノ結晶は三次元的に自己集積された超格子構造を形成することが明らかとなった。さらにその構造体を小角X線散乱で評価したところ、三次元立方晶系の超格子構造に由来する回折パターンが得られることが分かった。球状EuSナノ結晶は立方体型EuSナノ結晶とは異なる配列構造を形成することも明らかとなった。磁性半導体EuSナノ結晶の三次元超格子構造の形成・制御に成功した。
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Research Products
(4 results)