2009 Fiscal Year Annual Research Report
佐藤政権期の日米関係に関する研究―沖縄返還交渉の再構築を中心に―
Project/Area Number |
09J10082
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
中島 琢磨 Seinan Jo Gakuin University, 人文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本外交 / 日米関係 / 沖縄返還 |
Research Abstract |
1964年11月の佐藤榮作政権発足から1967年11月の日米首脳会談までの時期について、未整理の部分を中心に考察を行った。特に、沖縄返還問題の進展という点で重要な意味を持つ、1967年11月の日米共同声明の作成過程を検討した。日米共同声明の一つの焦点は、日米両国政府が両三年内(within a few years)に双方の満足しうる返還の時期につき合意すべきとする、佐藤首相の見解が盛り込まれたことであった。この沖縄の返還時期の目途づけが日米共同声明へ盛り込まれるに至った過程を、近年公開された資料から明らかにした。1967年の日米首脳会談に際しては、外務省ルートと佐藤首相の個人的特使であった若泉敬のルートで、対米交渉が同時に行われるという状況が形成されていた。こうした事実上の「二元外交(二重外交)」の展開という状況を踏まえながら、 1.佐藤と外務省のそれぞれの交渉目標 2.日米の交渉過程 3.日本側の最終的対応を検証した。 以上の成果は、活字論文として公表した(「1967年11月の佐藤訪米と沖縄返還をめぐる日米交渉」)。加えて、1967年11月の日米首脳会談から1968年11月の佐藤改造内閣の発足までの展開過程を、新たに公開された外務省の文書などを踏まえながら考察した。この時期には、緊急時の核兵器の沖縄への持ち込みや、返還後の沖縄からの米軍の戦闘作戦行動といった、沖縄返還をめぐる軍事上の論点が具体化していた。これらの点に関する日米の継続協議を中心に考察した。1968年11月までの展開過程については、次年度に論文として公表する予定である。 以上の作業の過程で、沖縄県公文書館、外務省外交史料館、国立国会図書館、アメリカ国立公文書館などで資料の調査収集を行った。また、当時の外務省関係者や政治家への聞き取りを行い、口述記録として整理する作業を行った。
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