2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10105
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
緒方 裕子 Prefectural University of Kumamoto, 環境共生学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 黄砂粒子 / 個別粒子分析 / SEM-EDX / 鉄 / 水透析 / 海水透析 |
Research Abstract |
黄砂粒子に含まれる鉄は、海洋における鉄の供給源の1つであると考えられている。鉄は、海洋における重要な微量元素であり、鉄濃度が海洋生産性を左右する海域もあると考えられているが、実際に黄砂粒子に含まれる鉄の化学組成や海洋への鉄の供給量などは明らかになっていない。そこで本研究において、電子顕微鏡と透析法を用いて個々の黄砂粒子を分析することにより、黄砂粒子に含まれる鉄の溶解性や変質過程を明らかにすることを目的とする。 本年度は、電子顕微鏡を用いて熊本県で黄砂飛来時に採集した黄砂粒子の元素組成を調べた。主な元素を含む粒子の個数割合については、Al,Siを含む粒子の割合が高く(80%~)、次いでNa,Mg,S,Caを含む粒子の割合が40~60%であった。また、黄砂粒子を海水中に浸すことにより、海水へ溶解する成分を除去する方法(海水透析)を新たに開発し、用いる人工海水の検討や処理方法についても検討を行った。その後、分析を行った粒子に対して人工海水を用いた海水透析を行い、黄砂粒子に含まれる元素の海水への溶解性について調べた。その結果、海水透析により粒子中のNa,Sはほとんどが溶解していた。一方、透析前後における同一粒子の鉄の相対重量比はあまり変化がみられなかった。そこで、同日に採集した粒子の蒸留水を用いた水透析の分析結果と海水透析の結果を比較したところ、各溶液への溶解性についてあまり差異は認められなかった。また、他の黄砂時に採集した粒子の水透析の分析結果と、海水透析を行った粒子の変化を比較した結果、水透析を行った黄砂粒子の方が透析前後の変化が顕著であった。これは、海水には様々な成分が溶解しているため、水透析で用いた蒸留水と溶解性に差があったためだと考えられる。また、海水や蒸留水への溶解性については、黄砂飛来時の状況など、黄砂粒子の輸送過程や大気中における変質過程が影響している可能性があることが示唆された。
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Research Products
(3 results)