2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい高解像度ガンマ線撮像方式の確立-将来の月惑星科学フロンティアを目指して-
Project/Area Number |
09J10122
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
小林 進悟 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガンマ線リモートセンシング / 月・惑星探査 / コンプトンカメラ / 元素分析 / ガンマ線分光 |
Research Abstract |
本研究はガンマ線リモートセンシングの空間分解能を高める、新しいガンマ線撮像法の原理実証を目指している。 1.まず従来のガンマ線撮像法の一般化と総括を行い、その結果を月探査機かぐや搭載ガンマ線分光計に適用して撮像性能を評価し、さらに月面の自然放射性元素(K, Th, U)の存在量の絶対測定が可能であることを実証した(S.Kobayashi et al.Space Science Reviews, in press)。この論文で重要な点は、ガンマ線センサと月表面で発生したガンマ線との相互作用に関して詳細なモンテカルロ輸送計算を実行することで、センサの応答の異方性、空間分解能、ガンマ線の絶対検出効率等の検証ができることを実証した点であり、今後のガンマ線リモートセンシングのスタンダードというべき手法を構築している。論文中で従来のガンマ線撮像法の検討を行った。月を高度100kmの上空から観測した場合には空間分解能の下限値は147kmであるが、ガンマ線センサやそのハウジングの形状・材質、ガンマ線のエネルギーにより、空間分解能は数km~数十kmほど変化することがわかった。従来、ガンマ線センサの空間分解能の最適化は積極的には行われてこなかったが、観測対象ガンマ線のエネルギーを絞り込み、ガンマ線センサをうまく最適化することで空間分解能を向上させることを従来のガンマ線撮像法の枠組みでも検討すべきかもしれない。特に硬X線、低エネルギーガンマ線領域(<500keV)では、センサの最適化は空間分解能の向上に有効であり、惑星表面のガンマ線リモートセンシングへの応用を今後検討する価値はある。 2.新しいガンマ線撮像法は、センサへのガンマ線入射方向を特定するコンプトンカメラ方式をベースにしているが、この方式を実証するためのガンマ線輸送シミュレーションによる基礎設計、ガンマ線検出素子(LaBr3)の基礎評価試験を行った。
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Research Products
(9 results)