2011 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害児・者の運動行為遂行の特徴とその心理学的解析
Project/Area Number |
09J10151
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
平田 正吾 東京学芸大学, 連合学校教育学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 知的障害 / 運動遂行 / 認知スタイル |
Research Abstract |
本年度は、前年度までの調査結果を踏まえ、1)知的障害児・者の運動領域における速さと正確性と、認知領域における速さと正確性の関連について検討すると共に、2)知的障害児・者における教示にもとづく運動調整能力と認知スタイルの関連について検討した。 1)に関しては、独自に考案した知的障害児・者の運動行為遂行における速さと正確性を評価する課題の成績と、認知判断における速さと正確性(衝動型-熟慮型の認知スタイル)を評価する同画探索課題の成績の関連を見ることにより検討した。その結果、暦年齢の低い知的障害児では、運動遂行の特徴と認知スタイルの差異がよく一致し、領域横断的な速さと正確性の特性の存在が示唆された。また、こうした特性の差異の背景には、抑制障害やプランニングや処理速度の問題、代償的な方略の存在が推定された。一方で、年齢の高い知的障害者では運動遂行の特徴と認知スタイルの差異が、さほど一致しなくなることが明らかとなった。こうした傾向は、年齢縦断的検討でも同様に認められた。 2)に関しては、知的障害児・者における衝動型-熟慮型の認知スタイルの差異と、教示にもとづく運動調整能力の関連について検討した。いくつかの運動課題を「できるだけゆっくり」遂行するよう教示した際の運動調整の様相を、認知スタイル別に見たところ、熟慮型と速く正確型の調整能力は高く、衝動型と遅く不正確型は低いことが明らかとなった。また、こうした結果の一方で、教示の効果が現れやすい課題と現れにくい課題があること、知的障害児・者では教示による運動の速さの即時的変化は生じるが、その変化はさほど持続しないことなどが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的について、計画通りに研究を遂行し検討することができたと共に、満足のいく結果を得ることができたため。
|
Research Products
(3 results)