2009 Fiscal Year Annual Research Report
認知リハビリテーションに基づく家族支援プログラムの開発-統合失調症を対象に-
Project/Area Number |
09J10177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中坪 太久郎 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 統合失調症 / 認知機能 / 心理教育 / 家族支援 / 認知リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究は,統合失調症における中核的な症状であると考えられるようになってきた「認知機能障害」への対応を軸として,患者および家族に対する新しい心報社会的治療を開発することを目的としている。今年度は,統合失調症の患者およびその家族を対象として,「統合失調症患者の認知機能障害と家族の諸反応の関連」について質問紙調査を実施した。分析の結果,「統合失調症患者の認知機能障害の程度が,家族の感情表出の程度に影響を与える要因として重要である」という当初の仮説を支持するものとなった。得られた結果については,第5回日本統合失調症学会および,心理教育・家族教室ネットワーク第13回研究集会にて発表を行った。また,質問紙調査の結果を用いて,統合失調症患者の認知機能障害を治療ターゲットとした「認知リハビリテーションプログラム」と,統合失調症患者の家族を対象とした家族心理教育の中で使用する「認知機能障害への家族の対応」というプログラムを作成した。作成されたプログラムについては,「患者への治療プログラムの効果研究」と「家族支援プログラムの効果研究」として,その治療効果の検討を行っている。患者への治療プログラムの効果については,その一部を「精神医学」で発表を行っている。加えて,統合失調症患者の家族の体験について詳細な理解を行うための質的研究を実施し,その結果は,「家族心理学研究」,「臨床心理学」に採択された。 以上のような,統合失調症の患者および家族に対する支援プログラムを開発することによって,近年特に重要視されている精神障害者の社会復帰に際して,有用な心理社会的治療を実施することが可能になると考えられる。
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Research Products
(4 results)