2009 Fiscal Year Annual Research Report
中近東アナトリア地域での前期鉄器時代文化編年構築に向けた放射性炭素年代研究
Project/Area Number |
09J10204
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大森 貴之 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員PC2
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Keywords | アナトリア地域 / 考古編年 / 前期鉄器時代 / ^<14>C濃度変動 / カマン・カレホユック遺跡 / ゴルディオン遺跡 / ^<14>C年代測定 / 年輪年代測定 |
Research Abstract |
中近東アナトリア地域において^<14>C年代測定を用いた考古編年構築に向けて,大きな問題の一つがアナトリア地域における地域的な^<14>C変動の有無であった。大気中の^<14>C濃度変化は地域によらず一定であると仮定する^<14>C年代測定にとって,地域的な^<14>C濃度変動の存在は,測定年代の精度を大きく損ねる。これまでにアナトリア地域においても地域的な^<14>C濃度変動の指摘がなされており,平成21年度の主な研究対象の一つが,この存在の再検証であった。^<14>C濃度変動の検証には,トルコ共和国カマン・カレホユック遺跡出土炭化物およびゴルディオン遺跡出土樹木試料を用いた。これらは年輪年代測定の結果からBC1300年からBC915年と推定され,5年輪毎を基本に分割した試料に対し90点程の^<14>C測定を行った。これまでに得られた^<14>C測定結果からは,北半球の平均的^<14>C変動データセットIntCal09と非常によく一致し,地域的な変動は見られなかった。 ^<14>C変動の調査と並行して,カマン・カレホユック遺跡前期鉄器時代編年の高精度化を目的とした出土炭化物の^<14>C年代測定も行った。前期鉄器時代と定義する文化層(IIdからIIc層)は,さらに文化層を構成する建築層まで細分化されている。今回の^<14>C測定から,文化層の年代推定だけではなく建築層レベルの年代推定を行うことができた。これにより,ひとつの建築層から次の建築層へ移る建替え期間は,数十年であったことも推測された。現在は,発掘記録から遺跡の正確な層序関係を整理しており,考古情報が確定し次第,これらの結果をベイズ解析しさらに正確度の高い年代推定を行う予定である。 平成21年度では,カマン・カレホユック遺跡,ゴルディオン遺跡以外の遺跡(ベイスルタン遺跡)からも試料採取を行う予定であったが,現地調査隊とのスケジュール上,平成22年度へ持ち越した。
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Research Products
(4 results)