2009 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪捜査の実践過程と法科学の利用に関する人類学的研究
Project/Area Number |
09J10239
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 舞 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 犯罪捜査 / 科学捜査 / 法科学 / 文化人類学 / 科学技術社会論 / ニュージーランド:オーストラリア |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで文化人類学的アプローチによってほとんど考察されてこなかった犯罪捜査に着目し、それがどのような人やものの相互作用の中でいかにして実践されるのかを、特に法科学的知識や技術の利用に焦点を当てて考察することである。本年度は、犯罪捜査や法科学の現状を理解し、来年度以降の現場での参与観察調査、聞き取り調査の際の理論的枠組みや着眼点を明確にするために、文献調査及び日本の法科学者、警察関係者への聞き取り調査を行った。また当初、調査対象地としてアメリカ合衆国を予定していたが、研究を進める中で目的を達成するための調査が困難であることが明らかとなったため、対象地をニュージーランド及びオーストラリアへと変更した。そして、2月にニュージーランド、オーストラリアで調査を行い、両国の法科学者によるワークショップに参加し、現地の法科学者への聞き取り調査、文献調査を行った。 これらの研究を通して、法科学が多くの分野から成り立っており、個々の分野は多様な要素の関係性の中で発展してきたこと、これまで科学的実践を考察してきた質的研究の枠組みが、法科学者の実践を分析する際にもある程度利用可能であることがわかった。ただし調査の中で、法科学的実践においては独自の特徴が存在することも少しずつ明らかになっており、これに関しては来年度以降の調査で更に深く考察する予定である。また、犯罪捜査過程の異なる文脈に応じて、法科学的知識や技術の利用のされ方や、それらに対する人々の理解や意味づけが異なっていることも明らかとなった。
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