2010 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪捜査の実践過程と法科学の利用に関する人類学的研究
Project/Area Number |
09J10239
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 舞 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 犯罪捜査 / DNA型鑑定 / 法科学 / 科学社会学 / ラボラトリー・スタディーズ / 人類学 / ニュージーランド |
Research Abstract |
本年度は前年度の研究調査に基づき、ニュージーランドで犯罪の証拠資料の分析を行っている法科学研究所において、現場での観察調査および聞き取り調査、文献調査を行った。本年度の調査の主な対象はDNA型鑑定を行っているラボラトリー(ラボ)であり、そこのスタッフ(アドミニストレーター、テクニシャン、サイエンティスト)の日々の実践の観察および聞き取りを通して、彼らの相互作用の中でどのように証拠資料が分析され、鑑定結果が得られるのかを考察した。これらの考察を通して、ラボにおいては、鑑定の質の維持、向上が重視されており、そのために証拠資料や得られたデータの取り扱いおよび管理技術、スタッフ間のチェック体制、技能検査をはじめとした様々な方策がとられ、新たな分析技術の開発、評価、導入が重要視されていることがわかった。 また、サイエンティストが得られたデータを解釈し、テクニシャンに指示を出したり鑑定結果を結論付けたりするプロセスに着目し、彼らがいかにしてデータを解釈しているのかを検討した。なお、この解釈のプロセスに関しては来年度更に分析を深める予定である。 更に、ガラス、繊維などの微細物および銃器、工具痕などの分析を行っているラボでの調査も開始し、独自の知識体系や分析技術などが利用され、生み出されていること、更にはDNA型鑑定を行っているラボとの類似点や相違点なども明らかとなってきており、来年度の調査、考察の論点として重要である。
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