2010 Fiscal Year Annual Research Report
高潮・高波時における護岸周辺の越波災害評価システムの開発
Project/Area Number |
09J10250
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 雅美 (菊 雅美) 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 越波 / 風外力 / 数値計算 / リーフ地形 / 波浪変形計算 / 気象計算 / 防災 / 越波対策護岸 |
Research Abstract |
越波災害を誘発する低気圧の接近・通過時には護岸周辺に強大な風が吹き寄せるため,護岸越波流量を算定する際に風の影響を考慮することは重要である.しかし,風速と越波流量の関係ついて,護岸設計に適用可能な知見は少なく,越波流量に及ぼす風の影響はほとんど考慮されていないのが現状である.そこで,本研究では,有風時の護岸越波流量を定量的に評価する方法として,実務での適用実績が高い数値波動水路CADMAS-SURFに風外力を導入する手法を提案した.風が護岸前面の波浪状況を変化させる作用を計算するため,海面上の風応力によって生じる流速をモデル化し,数値計算における自由表面に付加した.また,風は護岸に沿って打ち上がった水塊を護岸背後へ輸送させる.このような風の作用による水滴移動を単相流モデルである数値波動水路において適切に表現するため,水滴の水平方向運動が加速度運動になるように水滴の処理方法を改良した.そして,提案した手法を用いて,一様勾配地形における有風時の越波現象を対象とした水理模型実験の再現計算を実施した.その結果,風が砕波を促進するために無風時に比べて砕波点が沖側になることや,直立護岸における無次元越波流量が無次元風速とともに増加する傾向を提案した計算手法はよく再現していることを明らかにした.また,リーフ地形において有風時を対象とした越波計算を行い,護岸設計において評価が必要となる許容越波流量のオーダーの越波現象は風の影響を強く受けることを示し,護岸設計の際に風の影響を考慮しなければならないことを明示した.さらに,メソ気象モデル・平面2次元数値モデル・本研究で提案した断面2次元数値モデルを用いて,越波災害予測システムを構築した.そして,沖縄本島北部の現地リーフ海域を対象とした再現計算を実施し,これまで考慮されてこなかった気象場の影響を含めた護岸越波解析が可能になることを示した.
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Research Products
(3 results)