2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10262
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
脇谷 晶一 山口大学, 大学院・連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 白血病阻止因子(LIF) / Smad1 / Ihh / HB-EGF / 酪酸ナトリウム |
Research Abstract |
妊娠3日目から6日目のマウス子宮に対する抗STAT3抗体を用いた共免疫沈降を行ったが、STAT3-Smad1複合体の存在は確認できなかった。また、GFAPのmRNA及びタンパク質の着床期マウス子宮における存在も確認できなかった。これらのことからSTAT3、Smad1のアクチベーターであるLIF、BMP2はどちらも胚着床に不可欠な役割を持つが、アストロサイトの分化における場合と同様の協調作用は示さないことが示唆された。 偽妊娠マウスに着床遅延モデルと同様の処置を施し、LIF投与24時間後のマウス子宮を用いてIhh標的遺伝子であるPtch1、COUP-TFII、EGFRの遺伝子発現量をリアルタイムRT-PCR法により調査した。結果、いずれの遺伝子もLIF投与後の発現変動が認められず、胚着床におけるLIFとプロジェステロン経路の相互作用点はEGFR以下の経路にあることが示唆された。 着床期、EGFRのリガンドであるHB-EGFの発現は胚盤胞の存在する子宮上皮に限局する。胚着床に伴う子宮内の局所反応である血管透過性の亢進との時間的関連を調べたが、子宮全体を用いた解析では子宮上皮の局所反応を検出できないことが示唆された。また、同じサンプルを用いて子宮上皮のアポトーシスと関連するPrap1、子宮内膜間質の脱落膜反応と関連するBMP2の遺伝子動態も調査した結果、着床シグナルは血管透過性の亢進、上皮細胞のアポトーシス、脱落膜反応の進行の順に伝達されることが示唆された。 マウスの膣栓確認日を妊娠1日目とし、妊娠3日目に着床遅延処置を施し、その3日後に酪酸ナトリウム20mg/頭を投与し、さらに3日後に胚着床の有無を確認した結果、胚着床が進行したことが確認された。さらに、胚には着床前には認められない内胚葉が存在した。このように、酪酸ナトリウムが新たな着床誘起物質として発見され、不妊治療や胚移植への応用が期待される。
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Research Products
(5 results)