2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハッシュ関数の危殆化を考慮した暗号方式に関する研究
Project/Area Number |
09J10276
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 隆宏 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 暗号技術 / 公開鍵暗号 / 証明可能安全性 / ハッシュ関数 |
Research Abstract |
本年度(平成22年度)の研究実施計画では、(i):前年度(平成21年度)に得られた公開鍵暗号方式に関する成果の成果発信を完了すること、及び、(ii):これまで得られた成果をさらに発展・進展させることを計画した。本年度は、この研究計画それぞれについて、一定の成果を挙げることに成功した。(i)に関して具体的には、前年度に国内会議SCIS 2010(査読無)において発表していた、最低限の安全性(CPA安全性)しか持たない公開鍵暗号方式から、汎用的に用いられる公開鍵暗号には必須とされる安全性(CCA安全性)には到達しないが、同等の仮定のみを用いて構成する方式の中では真に強い安全性を持つ方式の構成に関する成果を、さらに発展させた成果を国内会議SCIS 2011(査読無)、及び国際会議PKC 2011(査読有)において発表した。この成果は、暗号理論においてCPA安全な方式のみを用いてCCA安全な方式を構成できるかという未解決問題に対し、現状最も良い肯定的な(部分的)解答を与える成果として重意義深い。また、(ii)に関しては、(i)に関して得られた公開鍵暗号の安全性の定義や構成法に関する知見を与える成果をSCIS 2011において発表した他、暗号化時に指定する"開封時刻"になるまでは、正規の受信者でも復号できない様な"未来へむけた"暗号文を作成することができ、電子投票、オンラインショッピング、オンラインでのテストなどへの応用が期待される"タイムリリース暗号"と呼ばれる高機能な公開鍵暗号方式を、既存の基礎的な要素技術のみを用いて一般的に構成法する方法を示し、国内会議CSS 2010(査読無)及び国際会議Pairing 2010(査読有)において発表した。後者の成果により、既存の基礎的な要素技術を組み合わせるだけで、CCA安全なタイムリリース暗号を構成できるようになる。さらに、構成の中では"真のランダム関数"性を仮定したハッシュ関数は用いず、本研究課題である"ハッシュ関数の危殆化を考慮した"構成法となっている。
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Research Products
(5 results)