2010 Fiscal Year Annual Research Report
行列ベクトル積の並列計算高速化のための新しい行列要素分配法の構築
Project/Area Number |
09J10286
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾上 勇介 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 行列ベクトル積 / 並列計算 / 分散メモリ型並列計算機 / 通信量削減 |
Research Abstract |
行列ベクトル積の並列計算高速化のための新しい行列要素分配法として,EBU (Exchange in Block Unit)法のOpen MP版が,従来のブロック・サイクリック分割に比べて高い並列性能が得られていたので,2010年の9月に東京の明治大学で行われた2010年度応用数理学会年会と,同月イギリスのバーミンガムで行われた第2回IWA会議で研究成果を発表した.講演を聞いていた方々からは活発な質問を受け、自分の研究に興味を持っていただけていることを実感できた.また,応用数理学会年会では,質問者の1人から,今後分散メモリ型並列計算機で並列化を行う場合,プロセス間の通信量を考慮したブロック交換法を考えて欲しいという自分の研究に有用なご指摘も受けた. 2010年の秋以降は,分散メモリ並列計算機上での行列ベクトル積計算の高速化に着手した.分散メモリ型並列計算機上での行列ベクトル積計算の高速化のために,まずは通信時間を短縮する方法について考えた.従来の行列ベクトル積計算における通信方法では,通信が必要な要素のみをプロセス間で1対1通信方法が最も通信量が少ない.しかし,通信が必要な要素は通常非連続であり,1度連続したバッファに格納する「packing」処理と、連続したバッファから元の非連続な並びに戻す「unpacking」処理が必要だった.私は,行列要素を予めオーダリングしておくことで,「unpacking」処理をなくすことができ,通信時間を削減できることがわかった. 実際,既存の通信方法よりも,考案した通信方法の方が通信時間が短くなり,行列ベクトル積計算の並列性能が向上することがわかった.この研究成果は,2011年1月に岡山理科大学で行われた第14回環瀬戸内応用数理学会研究部会で講演し,質疑応答でも良い感触を得た。
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Research Products
(7 results)