2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10290
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
今村 優子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低酸素 / Hypoxia-Inducible Factor(HIF) / HIF-1β(Arnt) / HIF-2α / 毛包幹細胞 / 分化 / p21 |
Research Abstract |
毛包幹細胞における低酸素応答因子HIFの役割を調べるために、表皮基底層におけるコンディショナルノックアウトマウスを用いたin vivoの実験と、そのマウスから単離したケラチノサイトを用いたin vitroの実験の両面で検討を行った。 1.毛周期におけるHIFの発現を調べるために、マウスの皮膚を採取し、リアルタイムPCRを行った。成長期であるAnagenの時期に、HIF-2αとHIF-1β(ARNT)の発現が増加し、その後減少したことから、マウスの毛包の成長に、HIF-2αとHIF-1β(ARNT)が関与していることが明らかになった。 2.HIF-1βコンディショナルノックアウトマウスの皮膚を採取し、HE染色を行い、毛の長さと幅を測定した。野生型と比較して、長さに差はなかったが、毛包の幅が増大していた。 3.HIF-1βの欠損による遺伝子発現の変化を調べるために、成長期であるAnagenの皮膚をそれぞれ採取し、タンパク質又はmRNAの発現量の違いを比較した。HIF-1βの欠損により、増殖抑制遺伝子p21の発現が減少していたが、そのファミリーメンバーであるp27の発現には影響はなかった。また、p21の発現を転写誘導しているp63の発現が減少していた。 4.HIF-1βコンディショナルノックアウトマウス由来のケラチノサイトにおいて低酸素を誘導すると、in vivoでの結果と一致して、p21の発現が抑制され、'また発現を誘導するp63の発現も抑制された。 以上の結果より、HIF-1βはHIF-2αと結合し、毛包の幅を規定していることがわかった。また、HIF-1βは増殖抑制遺伝子であるp21の発現を誘導し、その発現誘導にはp63が関与していることが明らかになった。これらの結果は、毛包幹細胞の分化制御機構を明らかにする上で重要であるといえる。
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Research Products
(1 results)