2011 Fiscal Year Annual Research Report
メチル化DNA結合タンパク質MeCP2の動態を制御する新規分子の探索とその機能解析
Project/Area Number |
09J10308
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤木 克則 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エピジェネティクス / DNAメチル化 / 脂肪細胞分化 / PPARγ / ポリADPリボシル化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脂肪細胞分化におけるMeCP2の解離からDNA脱メチル化に至る機構の解明、およびMeCP2と相互作用してその機能・動態を制御する因子の同定である。初年度には、まず脂肪細胞分化の過程がPPARγ遺伝子のDNA脱メチル化によって制御されていること、さらにはそのPPARγのDNA脱メチル化による脂肪細胞分化にMeCP2のDNAからの解離が関与していることを明らかにし、これを論文としてまとめ発表した(BMC biology,7:38,2009)。本年度には、MeCP2により制御を受けるPPARγ自体が、脂肪細胞分化時において様々な脂肪細胞特異的な遺伝子(例:Fatty acid binding protein2、Perilipin1、Catarase、Resistin、Phosphoenolpyruvate carboxykinase)の脱メチル化に関わっていること、また、脂肪細胞の分化系列にないマウスの線維芽細胞中においてもPPARγを強制発現することによってこれらの遺伝子におけるDNA脱メチル化が引き起こされることを明らかにした。さらに、このPPARγによる脱メチル化が、メチルシトシンヒドロキシル化酵素であるTet1による、PPRE周辺での局所的なヒドロキシメチルシトシン産生により媒介されることを示した。さらに、Tet1がタンパク質修飾のひとつであるポリADPリボースに結合する能力を持っており、PPARγの活性化によるコアクチベーター形成によってPPRE上のPPARγがポリADPリボシル化されることによりTet1を誘引し、PPRE周辺の局所的な脱メチル化を引き起こしていることを明らかにした。これにより本研究は、DNAの脱メチル化領域の決定が、配列依存的な転写因子のポリADPリボシル化という翻訳後修飾によって誘導されることを初めて示した。
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