2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10333
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
山本 節子 Forestry and Forest Products Research Institute, 森林遺伝研究領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遠交弱勢 / エコタイプ / 適応度 / 種苗配布 |
Research Abstract |
植物は分散能力が限られているため、同種内においてもそれぞれの生育環境に適応的な生態型(エコタイプ)を示すことがある。そのため外部からの種苗や、その種苗に由来する子孫は局所環境に適応できず、自生の個体よりも劣った表現型を示す、遠交弱勢を引き起こす可能性があるのである。よって、植物を人為的に移動させる場合には、その種の局所環境への適応に関する研究が必要である。本研究では、種内の地域間にエコタイプがあり、国内外において実際に種苗の移動がある落葉性高木のブナ、落葉性低木のヤマハギを用いて、種内の遺伝構造を明らかにした上で、エコタイプ間およびエコタイプ内で交配実験を行い、エコタイプ間交配に由来する個体(雑種)の適応度の変化を明らかにすることを目的としている。本年度は、ブナにおいて、エコタイプ間、エコタイプ内の交配実験を行った。4月中旬から下旬にかけて、北海道、宮城、静岡、岐阜、宮崎からブナの花粉を収集し、5月上旬に岐阜大学位山演習林において、宮城(鳴子)、静岡(富士)、岐阜の花粉を、1個体の母樹に交配させた。10月に種子を採取しその重さを測定した。結実率は岐阜が鳴子、富士よりも有意に高く、種子重は岐阜と鳴子が富士よりも有意に高い結果となった。この結果からは、集団内交配による結実率、種子重が最も高く、エコタイプ間の交配による適応度の変化に関しで明確な結果は得られなかった。本年度はブナの開花が少なく、また調査の立ち上げが遅れたこともあり、交配のための母樹が1個体しか得られなかったため、より確実なデータとなるよう、今後は母樹数をふやすよう努力したい。
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