2009 Fiscal Year Annual Research Report
エンドサイトーシス制御における低分子量G蛋白質Rab5結合蛋白質RIN3の機能解析
Project/Area Number |
09J10370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 学 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | エンドサイトーシス / アクチン細胞骨格 / Rab5 / Cortactin |
Research Abstract |
低分子量G蛋白質であるRab5は細胞膜から初期エンドソームに向けての膜小胞輸送であるエンドサイトーシスの制御において中心的役割を担う非常に重要な因子である。当研究室ではこれまでに新規Rab5結合因子RIN3を同定し、RIN3がRab5を活性化することを明らかにしてきたが、その詳細な制御機構は不明である。チロシンリン酸化シグナルは成長因子受容体や免疫応答、アクチン細胞骨格制御など極めて重要な経路を制御している。これらの経路は細胞増殖、癌や免疫細胞の遊走・浸潤、神経突起の伸長など多彩な現象を引き起こすため、チロシンリン酸化経路の解析は基礎的な生理現象だけでなく疾患のメカニズムを解明する上でも非常に意義深いと考えられる。私はRIN3がその分子内にリン酸化チロシンと結合するSH2ドメインを持つことに着目し、細胞内のチロシンリン酸化シグナルとの関係を探索した。まず、チロシンリン酸化依存的にRIN3に結合する制御因子の存在が考えられたため、チロシンキナーゼの基質であり、かつ小胞輸送に関与していることが報告されている因子を過去の知見から探し、293T細胞に過剰発現させて非特異的チロシンホスファターゼ阻害剤処理時のRIN3との結合を免疫沈降により検討した。その結果、癌原遺伝子c-Srcの基質であり、アクチン制御蛋白質であるCortactinがRIN3と結合した。Coratactinに関する知見から、RIN3はがん細胞の浸潤に関与している可能性があると考え、ヒト線維肉腫細胞株であるHT1080を用いて細胞外基質に対する浸潤能を測定した。その結果、RIN3をRNAiにより発現抑制した細胞では浸潤能が低下していることが見出された。本研究は膜小胞輸送と細胞骨格制御を結び付ける基礎的な知見のみならず癌の浸潤機構の解明につながる可能性があり、大変意義深いものと考えられる。
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Research Products
(2 results)