2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域活動における「贈与的ネットワーク」を媒介にした公共性構築過程に関する研究
Project/Area Number |
09J10392
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荻野 亮吾 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 公共性 / 贈与 / ボランティア活動 / 住民運動 / 関係性 / 社会教育 / 新制度論 / 社会関係資本 |
Research Abstract |
本研究の目的である「地域活動における「公共性」の構築過程を、「贈与的ネットワーク」という観点から明らかにし、市民活動の新たなモデルを提示する」ことを達成するため、今年度は以下の3つの研究を進めた。第1に個人の市民活動への参加の要因の実証分析を行った。日本版General Social Surveysの2次分析を行い、ボランティア活動への参加の規定要因と効果について明らかとした。一方で、政治参加の枠組みを援用し、生活満足度、市民的技術、政治意識・政治関心、社会関係資本の効果を、他方でボランティア活動独自の規定要因として、生活時間や家計による効果を明らかにした。 第2に市民活動を取り巻く社会条件、具体的には近年の学校と保護者、地域住民の関係の変化について分析を行った。1つは2008年度より実施されている「学校支援地域本部事業」について、大分県佐伯市の事例研究を行い、本事業が「社会関係資本」によって規定を受けつつ、その布置にも影響を与える可能性があることを明らかとした。もう1つは、保護者の学校参加について、保護者が有する教育への認識や学校の教育活動への満足度によって参加形態が異なることを、「学校教育に対する保護者の意識調査2003」(ベネッセコーポレーション)の2次分析によって明らかにした。 第3に市民活動と教育の関係について、1970年代の代表的な住民運動を、市民間の「関係性」という観点から再分析し、「他者」への説得と対話の過程を通じて市民的技術の伝達が行われ、社会教育が市民間の非対称的な関係性、「贈与的ネットワーク」の起点となっていたことを明らかにした。 次年度は、社会教育と地域活動の関わりについて、大分県佐伯市、愛知県豊田市、長野県飯田市でのフィールドワークを継続し、市民間の関係性の形成の基盤となる教育システムの構想を描く。
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Research Products
(9 results)