2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経発火、遺伝子発現、地震現象における稀なゆらぎの臨界的性質の普遍的記述
Project/Area Number |
09J10424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 洋輝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 集団現象 / 動力学 / Bethe格子 |
Research Abstract |
今年度は、将来的に有限次元格子上スピン模型、さらには振動子模型における集団動力学を理解することを目標に、その第一歩としてBethe格子上スピン模型の動力学に対する理論解析手法の開発を試みた。具体的には、希釈ボンドIsing模型のGlauber動力学と、拘束動力学スピン模型における遅い集団動力学を対象にして、無限自由度の確率過程から有限自由度の力学系を導出する方法を発展させた。この解析方法により、Bethe格子上希釈ボンドIsing模型のGlauber動力学において、ボンドパーコレーションが起こっていないGriffiths相で、磁化が多段階緩和することを発見することができた。また、拘束動力学模型においては、温度を変えた際の非エルゴード転移点で、導出した階層的な力学系定常解での線形演算子の最大固有値における動的スケーリング則を見つけた。これから、拘束パラメータによって非エルゴード転移の普遍性クラスが分類されるという強い証拠を得ることができた。このようなBethe格子上多体スピン模型の動力学に対する理論解析は、そのままでは有限次元系へ適応は難しいことが予想される。将来的には、これらをさらに発展させていきたい。また、Bethe格子上において非自明な動力学を示す他の模型に関しても、今年度に得た方法を適用することにより理解の進展がある可能性がある。これらの2つの課題は、今後の興味深い研究課題として残っている。
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Research Products
(9 results)