2009 Fiscal Year Annual Research Report
アデノシンレセプター活性化制御機構の骨代謝に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
09J10452
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹立 匡秀 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 骨代謝 / アデノシン / CD73 / ノックアウトマウス / 骨芽細胞分化 |
Research Abstract |
本研究課題では、内因性アデノシンの骨組織代謝における役割を明らかにするために、アデノシン産生に関与するCD73分子に着目し、同分子ならびに同分子により産生される細胞外アデノシンが、骨代謝に如何なる役割を担うのかについて解析を進めている。 まずCD73分子の骨組織における発現について解析を行った。抗CD73抗体を用いた免疫組織学的な解析の結果、頭蓋骨骨膜にCD73の発現を認めた。さらに骨芽細胞株MC3T3-E1を石灰化誘導培地にて培養するとCD73の発現が上昇したことから、CD73分分は骨芽細胞の分化に伴い上昇することが示唆された。次にCD73分子欠損マウスの骨における表現型を12-14週齢のマウスを用いて解析した結果、同マウスの大腿骨における骨量および骨密度が野生型マウスに比べ有意に減少していることが明らかとなった。また、血清中の破骨細胞マーカーは野生型マウスと差を認めなかったが、骨芽細胞分化マーカーであるオステオカルン濃度が有意に低下していたことから骨量減少の一端が骨芽細胞にあることが示唆された。一方で、新生仔マウスの骨格標本を作成し、胎生期の発育について検討を行ったが特に異常を認めなかった。次にcd73遺伝子導入MC3T3-E1(MC/CD73)を用いてCD73分子の骨芽細胞の細胞機能に及ぼす影響について解析を進めた。その結果、MC/CD73はコントロール細胞株に比べ、有意に高いアルカリフォスファターゼ活性、骨芽細胞分化マーカー遺伝子発現ならびに石灰化ノジュール形成能を示した。以上のことからCD73分子が骨芽細胞の分化を促進的に制御し、成体骨組織の恒常性維持に重要な役割を担っていることが明らかとなった。現在、CD73分子による骨芽細胞分化制御のメカニズムについて詳細な解析を遂行中である。
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Research Products
(4 results)