Research Abstract |
1:文献レビュー&海外視察 日本で入手できない未公刊資料の収集や,我が国でも多職種連携及びアウトリーチについて多くの点が参考になると思われる,カナダ国トロントの児童相談所への視察及び,職員5名へのヒアリング調査。またオーストラリア国パースの児童相談所職員及び関係者に支援に対して,ニーズの低い,また攻撃的・拒否的な養育者へのアウトリーチ研究に対するヒアリングを行った。 2:1の文献レビュー&海外視察で得た視点を元に,サービスプロバイダー側から見た多職種との連携による実践的なアウトリーチ・モデルの開発(研究A)を試みた。 最も子ども虐待死亡率の高い,未就学児童を主に日ごろ支援対象としている,(1)児童相談所の児童福祉司・児童心理司,(2)市区町村の虐待対応ワーカー,(3)保健センターの保健師,(4)保育園の保育士を対象に,アウトリーチを行った結果の成功例,及び失敗例を中心に,インタビュー調査を行った。調査協力者の募集が難航したが,現在(1)~(4)の現場の支援者達39人のインタビュー調査,及び分析が終了している。現在,理論的サンプリングを継続し,理論的飽和化に達しつつある。 本研究は支援者に対して攻撃的。拒否的な養育者のアプローチを理論化するものとして非常にインパクトが高いものと考えられる。また,支援に対して機付けが低い養育者や,自ら援助要請が出来ない養育者に対する実践的な関わりについて,学際的な視点を投ずる意義を持っている。 本平成21年度に実施した研究成果として,アウトリーチ対応の実状をモデル化し,現在理論化が出来つつある。そのため本研究の知見体,非常に現場に即したモデルとして提案できる可能性が高いと考えられる。また,連携面でも,機関毎の違い,専門職毎の違いなどから,それぞれの役割を比較検討することができ,我が国の実状にあった多職種との連携について,実践的な示唆の可能性が期待される。 3:サービスレシーバー側から見た養育者の視点(研究B)については,調査協力者の募集が難航している。現在,調査に向けて,より現実的な調査協力者の収集について各機関と調整中である。研究Aがまとまり次第,順次調査を進める予定である。
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