2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児がん患児およびその家族に対する心理社会的支援システムの開発
Project/Area Number |
09J10491
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 沙蘭 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小児がん / 家族 / 心理社会的支援 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は、小児がん患児の終末期における、家族支援プログラムを開発することである。本研究の予備調査として平成20年度に、家族が経験する困難および医療者に期待される支援について幅広く項目を収集するための面接調査をおこなった。平成21年度には、予備調査のデータの解析および、調査用紙の作成、参加各施設における倫理委員会への申請など、全国遺族調査の準備をおこなった。そして平成22年度には、参加施設のリクルートを継続するとともに、承認の得られた施設において調査用紙の発送および回収をおこなった。倫理委員会にて承認の得られた14施設をとおして、2004年11月から2007年11月の間に小児がんで子どもを看取った遺族を対象に郵送による質問紙調査を実施した。中間解析の結果、患児の治癒が望めなくなってから看取りまでの期間に家族が経験した困難としては、患児の病状悪化を実感すること(92%)、患児の苦痛を目の当たりにすること(88%)、急変に対する不安や緊張(73%)、患児の死を前提としての意思決定(71%)、死について考えることによる罪悪感(65%)、患児に何をしてあげられるのかわからないこと(63%)、遺伝や育て方のせいではないかという思い(52%)、患児の前で明るく振る舞うこと(52%)、自身の選択に対する迷いや後悔(50%)が、上位を占めていた。一方、医療者に期待する支援としては、毎日訪室し声をかける(86%)、最新の情報の提供(75%)、選択肢のデメリットに関する十分な説明(75%)、最期まで諦めない姿勢を見せる(73%)、最悪の場合に関する十分な説明(69%)、患児ときょうだいが関われるよう配慮(67%)、病状や見通しに関する繰り返しの説明(67%)、病状に関する家族の認識の確認(67%)、治療選択に際する助言(65%)、患児にできることについてのアドバイス(61%)が、上位を占めていた。なお、現在調査継続中である。
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Research Products
(2 results)